(記者)
今回の回答が正式な回答だとすると、これから先にどう進めることができるのかっていうのがちょっと気になるところではあるんですけれども、今後どのような話し合いですとか、JRに今回の正式な回答がさらにブラッシュアップされるっていうことを期待してらっしゃるでしょうか。
(知事)
それは今の回答でトンネルを掘れる状態でありませんからね。トンネルを掘れるようにするためには、お約束された全量戻すという技術的なシステムを作り上げられなくちゃいけないと。それは流量に関してだけですね、その他水質だとか、土捨て場だとか、こうしたものもあると思っております。ちなみに、この早川というところは工事が進んでるということですけれども、早川の土捨て場について私は大変気になっております。つい先週末、土曜日ですね、伝統文化交流会というのが川根本町でありました。そこに、早川町の辻町長さんが来られておりまして、これはもう、静岡県文化プログラムの一環なんですけれども、太鼓だとか、盆踊りだとか、国指定重要無形民俗文化財になっている盆踊りなんですけれども、そういうものとかお神楽とかですね、こうしたものが披露されたんです。そのときに辻町長さんが土捨て場のことおっしゃってて、たくさんの土砂が出ると、それをあそこも細長い所ですから、早川の流れに沿って町があるわけですね、山間の町ですから。そこは何百台もトラックが、下っていくようなことは到底受け入れられないと。ですから土捨て場の問題についても、自分には考えがあると。要は約束されたことがあるみたいですね。一回見に来てくれと言われたんですよ。ですから私、早川にも、もう1回行ってるんですけれども、数年前に田代ダムを見学に行きました。水の問題でどうなってるか見に行ったわけです。それから、工事現場も見に行っておりますが、数年前のことですが、今現在どうなってるのか、もう一度、一番北のところ、いわゆる奈良田っていうところがあります。奈良県の奈良っていう字に田んぼと書きまして、大変歴史的にも有名なところなんですね。いわゆる孝謙天皇というのがそこに来て、お風呂に入ったというそういう伝承があるところなんですけど、そこで突き当たってるんですよ。突き当たってるところから甲府盆地に抜けるという、これが国と県とJR東海が約束したというふうになってるんですが、それと土捨て場と関係してるみたいですね。ですからそうした現場を見てくれと言われてました。そして同時に水問題については非常に関心があると。それがまた雨畑についても、自分の町のことですから、大変懸念をしてるということでしたので、ぜひすぐに行けると思いませんけども、今ワールドカップもございますので、しかるべきときに早川の方に入ってみようと、というふうに思っております。現場見た方がいいと思ってるんですが、今工事ができる状況ではないと。従って、回答するには、検討に値する技術的な工法について提示をするという、そこから本格的なこの話し合いっていうのが、生産的な話し合いができるんじゃないかと思います。
(記者)
あと、基本協定を交わすかどうかという点に関してなんですけども。
(知事)
当然交わさないといけませんね。交わさないと、約束しないと。大変ここは、言わば水がめの水を奪うって話でしょ。これはぶら下がりだから、正式なものではないと思いますけれども、全部トンネル掘ってから水戻すとか、トンネルの湧水ってのはトンネルを掘ってる時に出るんですよね。トンネル掘った後に、トンネルが開通したときに、1秒当たり2トンとか3トンの水が出たらトンネル使えないですよ。ですから、もうとんでもないことをおっしゃってると思いましたけれども、ともかくその、水がめの水を全部戻すと。取った後から残ってるものだけ戻すようにするなどというふうな詭弁(きべん)に、すり替えられているようにこの間は、一部報道されましたけれども、根本的にそんなもの通ると思う方が間違いだと思っております。
(記者)
最後にもう1点。この前愛知で取材に応じていただいたときに、必要とあれば、他県の知事さんにも直接、説明に行きたいというお話がありました。今後の計画ありますでしょうか。
(知事)
今、どこの知事さんから来いっていうあれはないんですけどね。僕は今、うちの水がめですからね。これは一種の不測の事態に立ち入っているというように、建設期成同盟会の9府県の皆さま方に理解していただきたいと思います。言ってみれば、津波の臨時情報が出たと。避難するかっていうことになるような不測の事態だということで、こうした事態について建設期成同盟としてどうするかということを考えていただきたいと思っているわけです。ですから、建設期成同盟会として、会長さんとしては国にとおっしゃってましたけれども、国に働きかけることは重要で、会長さんもご自身でやってくださっておられるし、私自身も正式に要請をいたしまして、そして今、いわば傍聴ではありますけれども、覚書を交わしまして、国が見守るといいますか、現状を正確に把握していただくという作業に入ってるんだというわけですね。そういう会議もありますけど、期成同盟会の方の基本的なスタンスっていうのは、建設することですよね。ですから建設するのに、国に全幹法に基づいてやれと言っても、事業主体はJR東海さんですから。ですから、期成同盟会は、本当に働きかけるべきはJR東海さんなんですね。
ですから私は、国にも働きかけることは言うまでもありませんけれども、期成同盟会として、この不測の事態に対して、JR東海に対してどのようにするのかというようなことは、しっかり突きつけられて、JR東海の方も、それに対して納得ができるようにご説明なさる必要があると。これ全体の問題の、工程に関ってきてることですから。これを期成同盟会としても、今、予期せぬ想定外の事態に直面してるっていうご認識を持っていただいて、それに面してどうするかというスタンスを取っていただければと思っております。
(幹事社)
他に幹事社質問に関連して。
(記者)
リニアに関してですけれども、知事はこれまで大村知事と会談をし、理解を求めに行ったという経緯がありますけれども、今後JRとの平行線が続くようであれば、JR側と知事が直接会談をするなり、そのような機会を設ける可能性っていうのは、あるんでしょうか。
(知事)
もちろんありますよ。ただですね、これは世界で最も活動が活発な山を相手にしているわけですね。そこはしかも、ユネスコのエコパークでもありますから、この生態系とか地質とかということを専門にしている先生方が、議論ぶつけないとですね、政治的にこうだっていう話ではありません。多くの人々の命というか、生活とか産業がかかっていることでありますから、こういうことについては、科学的なエビデンスと技術的な保障というものをしっかり立てて議論していただいて、その上で、何かこう、解決の糸口で最終的に判断が、トップがしなくちゃいけないといったときには、会う必要があると。今は技術的な問題ではっきりしてることは、まだ技術ができ上がってないということだけですね。それはやっぱりもう、掘る側としては、その技術を確立するように、努めなくちゃいけないと思います。
(記者)
今回の回答に関してなんですけども、今のお話だと、全量戻すための技術的な担保されていないという意味で、この今回の回答で不十分だという認識でよろしいでしょうか。
(知事)
そうです。掘れないってことですね。
(記者)
水利用者の意見交換会の後に、島田の染谷市長が、県境の湧水の問題に関しては、もう1回しっかりとした説明を聞きたい、本当に無理なのかしっかりと説明を聞きたいと言うお話をされていました。そのJR側が本当に技術的に無理なんですっていう、恐らく回答出してきた場合に、それでも全量戻すっていう約束を守れというふうにおっしゃり続けるのかどうかっていうのはどうでしょうか。
(知事)
全量を戻すということが基本です。今もう、大井川の水は節水を利用者に、利水者にお願いするような状況が続いてるわけですね。染谷市長さんがおっしゃったように、田代ダムの方に流れてる水ですら、もう何とか返してほしいという気持ちもあるわけです。しかし、それはちゃんと約束があって、10年ごとに更新するということで、今、ぎりぎりのところで静岡県民の、関係者は我慢してるというか、それを受け入れてるわけですね。そういう状況のところでありますから。技術的に、戻す、戻すべき責任があるんではないでしょうか。 |